湯が沸いた 中頓別の 底力(武志・作)

6年前には、「到底ムリ!無茶なことをやりだしたもんだ…」と思っていたことなのに、6年も続くと当たり前になっちゃう。
今年も10月10日には、みんなとお餅つきをした。当たり前のようにみんなでお雑煮やぜんざいを食べて、みんなで集めた薪でお湯をたっぷり沸かした。あちこち危なっかしくても、年齢相応だよ。いつ倒れても悔いはない。そんな気持ちと裏腹に昨日のような今日を過ごした後は、今日のような明日が来るのだろうと思い込んでいた。

そしてその日は急にやってきて、当たり前を奇跡に変えた。

水が出なくちゃ風呂屋はおしまいだな。もういいよ。ムリだって…

呼び出されて、日曜日だっていうのに水道屋のお兄さんが来てくれた。部品を取り替えなきゃ。翌日は役場の水道担当者と建設会社の社長。部品を取り寄せなきゃ。
同じ部品が町のどこかで眠っていないかな…?ダメダメ。あっても使えないよ。札幌にもなくて東京から取り寄せ!?延命処置はしないでくれよ。

それからずいぶんたくさんの町の人が心配してくれた。
「お互いにムリしてたから…」いつも番台で眠ってしまう管理人は自分に同情票を集めたがる。そうそう。臨時休業の始まりは選挙の日だった。

お風呂掃除を仕事に毎日顔を見せてくれた二人の青年は、控えめに、しかしきっぱりと黄金湯に告げた。ここで又仕事がしたい。

10日間の仮死状態の間に、たくさんのことを考えた。黄金湯はまだ何か出来るのだろうか?

長い付き合いの隣のお兄さん(昔の)が「壊すぞ」と言いながら黄金湯の息を吹き返してくれた。まだ大丈夫だって…。本当に?

別れの日は近いのかもしれないけれど、少々時間は稼げそうだ。

奇跡が伝説になる、中頓別の底力。

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湯が沸いた 中頓別の 底力(武志・作) への1件のコメント

  1. 山本千鶴子さん より:

    ええーーーーっっっ!!すごーーーーーい!!!
    お湯が出ない…と聞いて(読んで)もう無理なの!?と残念に思っていました。
    でも…黄金湯さんも管理人さんも、これだけ頑張ってきたんだから…もう仕方ないのかなあ…。管理人さんが倒れなかっただけでも良かったのかなあ…。とあきらめかけていました。
    中頓別の底力…すごい!!!

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