中頓別の誇る老舗「高橋豆腐店」

takahashi-tofuお味噌汁、冷ややっこ、麻婆豆腐などからスイーツまで使い方は自由自在、今も昔も日本の食卓には欠かせないお豆腐。

海外でも「Tofu」と言えば通じる和食を代表する食材のお豆腐ですが、いつの間にか近所のお豆腐屋さんは姿を消し、多くの人が口にする豆腐は、輸入大豆を使って工場で大量生産されたものになってしまいました。

しかし中頓別では、道産大豆を使い、職人がいちから手作業でお豆腐を作る「まちのお豆腐屋さん」が健在なのです。その名は「高橋豆腐店」。

近隣の浜頓別、枝幸、豊富町では、中頓別より人口が多いにも関わらず以前あった豆腐屋さんは姿を消しており、人口2000人を切る中頓別町にお豆腐屋さんがあること自体が奇跡に近いのですが、このお店、なんと驚くべきことに町の開拓当初からある、創業一世紀近い老舗なのです。

20年以上、お味噌汁にここのお豆腐と揚げをいれているという町内の60代のある女性は、「うちはお豆腐とお揚げは高橋さんのしか使わないの。これじゃないとダメ」と言い切ります。

お豆腐は持ってみるとしっかりしていて、ずっしりと重みがあり、食べると豆の甘味、うまみが感じられます。お揚げも独特のしっかりとした噛みごたえがあり、これも本当に美味。大手のスーパーやコンビニに出回るものとは、別の食べ物のようにすら感じられます。

中頓別町内では、町内会などの集まりがあると、近所のお母さん、おばあちゃん達が集まって山菜、野菜、こんにゃく、お揚げなどを煮た「お煮しめ」をよく作りますが、これには必ず高橋豆腐店のお揚げなどが入ります。町の開拓当初からある高橋豆腐店の味が、地域の味としてしっかり根付いているのですね。

まちの人と話をしていると、地元で手作りされたお豆腐、こんにゃくなどへの愛着、また高橋豆腐店という老舗が健在であることへの誇りが感じられます。

町内会の集まりでお煮しめを作るお母さんたちと、お煮しめに入る高橋豆腐店のお揚げ、こんにゃく「

お煮しめを作るお母さんたちと、入っている高橋豆腐店のお揚げ、こんにゃく

このお店は、現在店主の高橋恵美子さんで4代目。恵美子さんの旦那様の曾祖母が昭和初期に始めたお店で、代々女性がお豆腐作りを続けてきているそうです。

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大豆を煮る間、豆乳を受ける釜の用意をする、高橋恵美子さん。

昭和初期の頃は、お客さんはどんぶりなどをもってお豆腐を買いに来て、今の2丁分にあたる量のお豆腐を薄皮に包んで渡していたとのこと。

創業当時は町内に4,5軒あったお豆腐屋さんも今ではここだけになりましたが、高橋豆腐店の工房では、ほぼ毎日湯気があがり、お豆腐、お揚げ、こんにゃくなどが手作りされています。最近は、豆腐を型枠で固めない柔らかめの「おぼろ豆腐」なども作っており、人気があるそう。

高橋豆腐店の豆腐作りは、機械はもちろん使いますが、すべての過程で高橋さんの手が入る、昔ながらの手作業。豆の浸水ひとつとっても、季節やその日の気温によって必要な時間が大きく違うのですが、長年の経験、勘で、いつものお豆腐に仕上げていきます。

大豆の浸水具合をチェック。

大豆の浸水具合をチェック。

お客さんに「コンビニでも豆腐は買えるけど、こっちが豆腐の味なんだね」と言われたり、町を離れた人が帰省し、高橋豆腐を食べたら「お母さんの味」がしたという話を聞くと、ここの豆腐が家庭の味になっていることが分かり、嬉しいと語る高橋さん。

お豆腐、お揚げ、こんにゃく作りの職人として日々仕事をこなしつつも、優しい笑顔を絶やさない高橋さんは町民に厚い信頼を置かれる存在で、依頼された民生委員などのお仕事もされています。

また高橋さんは、絵や絵手紙も長年続けられていて、最近は名刺サイズの紙に毎日言葉を寄せた絵を描いているといいます。インタビューさせてもらったお部屋にはこんな手書きのことばが掛けてありました。「磨けば磨くほど光る それは人も技も同じ」。長年やっていても常に技を磨くことを忘れない、そんな姿勢、生き方が伝わってきます。自らには厳しくも笑顔は決して忘れず、そしてまるでお豆腐のようにやさしく柔軟な方なのです。磨けば磨くほど光る

中頓別に来たら、是非、高橋豆腐店のお豆腐、こんにゃく、おからなどを買って、まるで作り手の人柄まで伝わるような手作りの味を楽しんでみてくださいね。嬉しいことに、場所は黄金湯、トントンのすぐ横。ちなみにトントンのランチで使うお豆腐はもちろん、高橋さんのお豆腐です。高橋豆腐店

文:ボーセン

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高橋豆腐店

住所:北海道 枝幸郡中頓別町 字中頓別58
電話番号:01634-6-1738

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中頓別の誇る老舗「高橋豆腐店」 への2件のコメント

  1. ぐっさん より:

    ほぼ毎日お父ちゃんのビールのつまみでした。高橋豆腐店さんみたいな豆腐は中々手に入らず。無性に食べたくなります。揚げも焼いて生姜じょうゆで食べるだけでビールすすむ!!!!!
    ああ食べたくなったなあ。
    お風呂も入りたくなったなあ。

    ボーセンさんはあのボーセンさん?戻られたんですか?中々会えず。今度会いに行きまあす。

    • HP管理人 より:

      ぐっさん、コメントありがとうございます。

      お久しぶりです~!そう、あのボーセンです(笑)。
      中頓別にいたときからずっと高橋さんの記事を書きたいと思っていて、前回中頓別に遊びに行ったときに、取材させてもらったんです。

      高橋さんのお豆腐、最高ですよね。ああいう豆腐、ホントなかなか手にはいらないです。

      そのまま食べても美味しいですが、うちはよく卵や野菜と一緒に炒り豆腐などにもしていました。ずっしり大きいから、立派なメインディッシュになるんですよね。

      またどこかでお会いできるといいですね。それでは、お元気で!

      ボーセン(^^)

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